IPC WorksAsia (上海) カーエレクトロニクスセミナーレポート
2017年5月25日、GMチャイナ本社にて、IPC WorksAsia カーエレクトロニクスセミナーが開催された。
1日に渡り、実施された本セミナーでは、IPC Asia PacificのHarry Han氏、ContinentalのKarlo Bawagan氏、Microtek社のBob Neves氏など、カーエレクトロニクス周辺のIPC標準や各社の導入動向、導入方法などが発表された。本セミナーは、有料ではあったが、総勢150名を超える中国車載関連企業が終結し、熱心に耳を傾けていた。
1. IPC Asia Pacific – Harry Han 氏 – IPCの監査サービスと6012DA (リジッドPCBの車載向け追加基準)
Han氏は、昨年発表されたIPC-6012DAの概要に加え、車載基準を作成する経緯にあたる、宇宙航空産業向けの追加基準について、NASAによるIPC/WHMA-A-620xSの採用状況などを説明。また、中国におけるIPC-A-610を核とした車載向け追加基準のタスクフォースチームや活動概要・予定などを公開。また、GM Chinaが先日発表した、CQI-17の監査工程で採用されている、IPCの監査サービス(Qualified Manufacturer List)についての概要や手順について発表した。
2. Continental (コンチネンタル) – Karlo Bawagan氏 – 原材料の表面絶縁抵抗(Surface Insulation Resistance)評価メソッド
Bawagan氏は、IPCの004を適用したコンチネンタルのSIRテストメソッドについて詳細なプレゼンテーションを実施した。SIRについては、コンチネンタルの本メソッドを唯一の方法論としてグローバルで展開をしている。製品の使用環境における汚染物質やPCBの組立品質、製品寿命に関連する原材料の特定、自社製造とサプライヤー支給品のおける材料の適合性など、IPCに協力を仰ぎ、独自の試験用PCBを開発した。IPC-B-25Aをベースとしながら、自社の要求事項を加え、コンチネンタル独自の試験用基板を作成し運用している。試験計画>SIRクーポン工程>SIR試験と各試験工程においてIPC標準に適合し、若干のカスタマイズを加えて、社内規格を作成していると説明した。
3. Microtek – Bob Neves氏 – カーエレクトロニクスとPCB信頼性評価
Neves氏は、米国および中国の江蘇省にて、信頼性評価を行うMicrotek Laboratoriesの代表であり、ビッグスリーをはじめとするカーエレクトロニクス、車載分野の組立品評価を行っている。各国における自動車産業での信頼性分析を行う傍ら、IPCの常任理事として、50を超すIPCの委員会、IPC-A-600、610、620、6012、高密度実装などの数多くの標準委員会のチェアマンを勤めている。また、IEC T91のワーキングルグループ10、PCB試験方法、グループ4のPCBメンバーでもある。
Neves氏からは、今日のエレクトロニクス化する自動車市場において、PCBの信頼性低下は重大な製品寿命や運転者への影響が及ぼす可能性が増加している。そのため、どのように不良リスクを軽減し、複雑化するエレクトロニクスシステムにおいて、試験方法を確立し、実行していくかについての説明を行った。また、現時点で、自動車には100を超えるマイクロプロセッサー、10kmを超えるワイヤーが搭載されていると指摘。さらに300-400VDCを超える電圧が必要であり、PCBには大きな負担がかかる上、今後の電気自動車では、より多くが必要となる。その中で、特定の難しいCAF(Conductive Anodic Filaments)、使用環境の想定、異なる条件で行った様々な解析例を元にCAF分析方法を解説した。